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突然ですが、小説連載始めます! 小説名『イクシード戦記』

 遥か昔より、この世界バルクスには五つの種族が存在した。

人族。
 自らがこの世で一番優れていると信じている愚かで傲慢な一族。その傲慢がいつの日か自身を滅ぼすであろう。

 羽翼族。
 美しい女性たちのみで形成された一族。その背中に生えるは白き翼と黒き翼。それらは癒しと破壊を意味する。

 獣人族。
 獣の血を色濃く受け継いだ彼の一族は、人の身でありながら獣の身体能力をその身に宿す。しかし、優れた力を持っていても、羽翼族同様女性のみで形成されているため衰退の一途を辿る悲しき一族。

 竜人族。
 太古の昔より存在する一族。その詳細は何も明かされていない。ただ一つ判明していることは、竜人族もまた女性のみで形成されているということ。

 エルフ族。
 自然の声を聞き、自然の寵愛を受けし一族。自然の力を借り受け、魔法と呼ばれる神秘の術を扱える世界で唯一の一族。エルフ族も他の種族同様に女性のみで形成された一族である。

 人はなんと醜く儚き生き物であろうか。
 何故、他の種族と手と手を取り生きていけぬのであろうか。
 ああ、なんたる悲劇!
 
 これは、この世界バルクスに伝わる伝承。
 その一部である。

 プロローグ

 「さて、早速だが戦況報告を聞かせてもらおうか」
 王宮内の執務室兼女王陛下の私室には現在国の重鎮たる三人がいた。一人は女王。
 「はっ! 我が軍の被害は今回も皆無です」
 一人は王国騎士団副隊長。
 「そうか。また・・・か?」
 「ええ。またよ」
 一人は王国騎士団総隊長。
 「あー、なんと言ったかな?」
 「『十字架を背負う悪魔』です」
 「『十字架を背負う悪魔』。ふむ、悪魔だろうがなんだろうが味方には変わりないのだろう?」
 「たぶん・・・ね。敵じゃないのは確かみたいだけど」
 「ナミロ草原、カヌハラ砦、アサバズの港、ロージャ湖、そして今回のトレットの森。どの戦いにおいても『十字架を背負う悪魔』が現れ、その全ての戦いで我が軍に助力しております。正直、奴がいなければ我々は相当な数の死者を出していたことでしょう・・・」
 「そうか。まあ、なんにせよ死者が出ていないのは幸いだ」
 「そうよね」
 「もうじき、戦争が始まり八年になります」
 「そうだな。戦争が始まり、お父様が暗殺されて八年。だが、我々の死傷者数はゼロ。『十字架を背負う悪魔』とやらには感謝せねばなるまいな」
 「はい・・・」
 「それで、奴の正体は判明したか?」
 「いえ・・・」
 「調査班からの報告は依然として『正体不明』だわ。いつ現れるかわからない。いつ去るかわからない。だから誰も正体を掴めず、顔すら見たこともない」
 「お前以外はな、リーシャ」
 「・・・・・・」
 「リーシャ様?」
 「私も・・・あのときのことはあまり覚えていないの」
 「あのときというと、やはりロージャ湖での戦いですか?」
 「ええ。私は確かにあのとき死を覚悟した。でも・・・」

 たった一人だった。仲間とはぐれ、敵兵に囲まれてしまった。見渡す限りに武装した敵兵がいた。数は百を超えていた。圧倒的な戦力差。それでも、命の灯火が燃え尽きる最後の最後まで戦い続けるつもりだった。
四方八方至るところから放たれる矢。それをかろうじて避ける。否、避け切れなかった矢が私の右足を貫く。痛みにバランスを崩してしまい、その場に倒れこんだ。
 逃げなくては!
 どんなに惨めでも私は帰らなくてはならない!
 あの子たちの下へ帰らなければならない!
 だけど、そんな私の思いを神様は許してくれなかった。
 敵兵に周囲を囲まれた。
今度こそ・・・終わりだ。
 敵兵は私の両手を縛ると、足をいやらしい手つきで撫で回す。
吐き気がする。
男に肌を触られた。
辱めを受けるくらいなら死んだほうがまだましだ。
 でも・・・死ねない。
 男が私の鎧を剥ぎ取り手を近づけてくる。次々と破られる衣服。私は「ぎゅっ」と目をつむり、ただひたすらに祈った。
神にではなく、彼女に。
親友に。
 男が悲鳴を上げたのはそんなときだった。
 目を開けた私は信じられない光景を目の当たりにした。
百を超えていたはずの敵兵が、いまや屍の山を築いていたからだ。残っているのは私の目の前にいる男のみ。男は情けなくも失禁し、声を出せないでいた。それは、男の眼前にいる一人の人物のせいだった。
 その人物は煤けたコートを全身に被り、姿を見せないようにしている。右手には身の丈ほどの巨大な十字架・・・いや、十字剣を持っていた。
 この人が・・・『十字架を背負う悪魔』。
 「消えろ・・・」
 男はその言葉になんの躊躇いもなく去っていった。
 『十字架を背負う悪魔』は私の方へと振り向くと煤けたコートを脱ぎ、それを「そっ」と私に着せてくれた。このとき、『十字架を背負う悪魔』の顔が一瞬見えた。しかし、それは本当に一瞬で、その人は悪魔の仮面で顔を隠す。
 「すみません・・・」
 私の傷口を見て今にも泣きそうな震えた声で言う。
『十字架を背負う悪魔』は男だった。
 彼は私の背中と足を両手で抱えて走り出した。

 「というわけでね、『十字架を背負う悪魔』が男だってこと以外はなにもわからないの。ただ・・・」
 「ただ?」
 「とっても優しい匂いがしたわ」


つづく
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